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白鳥の怖さを「男」は知らない。

映画「ブラックスワン」を観た。
怖いもの見たさという気持ちが強かったが、
まったく怖くなかった。
見慣れた世界といってもいい。

娘の成功を喜びながら否定したい母。
女の成功はセックスなしにあり得ないと信じている人々。
「性の解放」という神話。

ナタリー・ポートマン演じるニナはイヤな女だ。
プライドも野心も人一倍で、
誰が自分より上手いか下手か気になってしょうがないのに、
陰りが見えてきたプリマ、ベスをバカにするダンサーたちを
すまし顔でたしなめる。

解雇されたベスが残していった真っ赤なルージュをつけて
演出家ルロワの部屋に押しかけ、
「私を抜擢して」と言うくせに
キスされるとルロワの舌を噛んで逃げ出す。

ダンサーとして成功できなかった母を
哀れみながら見下し、
それでいて強烈に依存している。

さらに。
自棄になったベスが走っている車に飛び込んで大けがを負うと、
花をもって見舞いに行く。
行くか?ふつー。
新しいプリマに抜擢された女になんか
ぼろぼろになった自分を見られたくないに決まってるじゃん。

さらにさらに。
ベスの意識がないのをいいことに布団をめくり、
ぐちゃぐちゃになった足を見て
「ひゃー」とか言って逃げ出すのだ。

どこまでイヤな女なんだよっ。
どこが「純真で臆病な白鳥」なんだよっ。

ルロワにダメ出しされるたびに
泣き顔になるのもイラつく。
だったら自分の実力不足を認めて降りればいいのに、
ぜーったいに降りない。
泣くならやるな、やるなら泣くな。
っつーの。

このべちゃべちゃした、とんだ白鳥が
ライバル(と思い込んだ)を殺して邪悪な黒鳥になり、
劇場中を圧倒する踊りをやってみせ、
不適な笑みを浮かべながら鼻息荒く楽屋に戻っていく場面で
「そうこなくっちゃ!」とようやく爽快な気分になった。
これこそがニナの本質でしょ。
解放されてよかったね、ニナ!

ところが、ライバルを殺したというのは自分の妄想で、
実は自分で自分のお腹を刺していたと気づくと
また元の泣き顔に逆戻り。
瀕死の白鳥は最後の力を振り絞り、
観客の熱烈なコールのなか
泣き顔で死んでいきましたとさ。

ふー。

これは、
「邪悪を抑圧しておけない女は自分で腹を切れ」
というメッセージ?
それとも、
「自分の邪悪さに気づいた女は狂わずにはいられない」とでも?

いずれにしても「男」は甘いと言わざるを得ない。
ニナのようなタイプの女は絶対に自分を殺したりしない。
いつも自分は被害者のような顔をして、
泣き顔で世間を渡り歩いていくんだから。

私は白鳥より黒鳥のほうが好きだ。

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