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「文蔵」6月号

特集の「復刊待望!「あの名作」が読みたい」で、

小川洋子さんのインタビューをした。

タイトル通り、絶版となってしまったが多くの人に読んでほしい作品を

紹介するという特集。

小川さんが選んだのは、ジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』。

文庫で上下巻あり、けっこうな長編だ。

オウエンという小人症の男の子が成長していく過程と

彼の選んだ生き方が、親友ジョニーによって語られる。

絶版でもあり、今回の仕事がなければ読む機会はなかっただろう。

この小説がとてもよかった。

物語そのものも淡々と進むし、

語り手はジョニーという「他人」なので、

主人公オウエンの内面で繰り広げられた葛藤や嘆きや怖れ、歓びに

読者は直接触れることはできない。

オウエンがジョニーに語った言葉やオウエンの行動から想像するしかない。

その言葉や行動、そしてジョニーのオウエンに対する思いという、

いわばオウエンを理解するための「ヒント」の表現が

アーヴィングという作家の力なのだと思う。

物語の最後に、オウエンの選んだ生き方がわかる。

そして淡々と進む物語のなかで「すべて」がつながっていたことも。

オウエンは熱心なキリスト教信者として描かれているが、

宗教はモチーフにすぎないように思える。

・・・小説のことばかり書いてしまった。

インタビューでは、小川さんがこの小説に惹かれる理由はもちろん、

作家としてのご自身のテーマも語られ、

小川さんの小説の大ファンとしては

緊張しつつも楽しいインタビューだった。

今もICレコーダーから小川さんの肉声を消せずにいる。

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