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2011-05

「文蔵」6月号

特集の「復刊待望!「あの名作」が読みたい」で、

小川洋子さんのインタビューをした。

タイトル通り、絶版となってしまったが多くの人に読んでほしい作品を

紹介するという特集。

小川さんが選んだのは、ジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』。

文庫で上下巻あり、けっこうな長編だ。

オウエンという小人症の男の子が成長していく過程と

彼の選んだ生き方が、親友ジョニーによって語られる。

絶版でもあり、今回の仕事がなければ読む機会はなかっただろう。

この小説がとてもよかった。

物語そのものも淡々と進むし、

語り手はジョニーという「他人」なので、

主人公オウエンの内面で繰り広げられた葛藤や嘆きや怖れ、歓びに

読者は直接触れることはできない。

オウエンがジョニーに語った言葉やオウエンの行動から想像するしかない。

その言葉や行動、そしてジョニーのオウエンに対する思いという、

いわばオウエンを理解するための「ヒント」の表現が

アーヴィングという作家の力なのだと思う。

物語の最後に、オウエンの選んだ生き方がわかる。

そして淡々と進む物語のなかで「すべて」がつながっていたことも。

オウエンは熱心なキリスト教信者として描かれているが、

宗教はモチーフにすぎないように思える。

・・・小説のことばかり書いてしまった。

インタビューでは、小川さんがこの小説に惹かれる理由はもちろん、

作家としてのご自身のテーマも語られ、

小川さんの小説の大ファンとしては

緊張しつつも楽しいインタビューだった。

今もICレコーダーから小川さんの肉声を消せずにいる。

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おひとりさま食堂。

週に一度は行く、つるや食堂。

うどん・そばからカレーにオムライス、

冷やし中華もラーメンもある町の食堂だ。

たまに家族連れの客と遭遇するが、

圧倒的に多いのが「おひとりさま」。

先週なんて、先客の4人がすべてひとり客だった。

40代の外国人サラリーマン、50代の女性2人、

そして杖をついた高齢男性。

みんな、二人用のテーブル席の奥に座っている。

わたしも同じように座って

今年初めての冷やし中華を食べた。

高い位置に置かれたテレビをみたり、

新聞を読んだり、

食べることに集中したり。

わたしは必ず『週刊ポスト』と『週刊現代』を読む。

みんな静かに食事をし、

食べ終えると少し休んで

静かに席を立つ。

店は清潔だし、全面禁煙だし、

たいへん居心地がよい。

炭の匂いが染み付いた焼き鳥屋も好きだが、

仕事の合間の食事には

こういう店がいい。

時々、うつわを持参して注文を言い置いていく

高齢の女性も見かける。

あとで届けるようだ。

ひとり暮らしが増え続ける社会では

こんな食堂が欠かせないだろう。

「今日はつるやに行こう」と思うとき、

「さっさと仕事を片付けてビールも飲もう」と思うのだが、

それはなかなか実現しない。

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連休あれこれ。

連休中に観た、読んだ、出会った、食べたもの。

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映画 「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」

天才モーツァルトの姉、ナンネルにスポットを当てた映画。

ナンネルの才能を認めながら、「女に作曲はできない」と決めつけ、

「バイオリンに触るな!」と怒鳴る父。

父から存分に指導を受ける弟を複雑なまなざしで見つめるナンネル。

音楽家として自立して生きることをあきらめ、

暖炉で楽譜を燃やすシーンが切なかった。

ストーリーとは別に、あの白い巻き髪がかつらだと知ってびっくり。

ミュージカル「モーツァルト!」で

「白いかつらはもうかぶらない」という歌詞があったけど、

ほんとにかつらだったんだ。

女性もかぶってたよ。

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小説 「ワーカーズ・ダイジェスト」津村記久子

組織で働くなかで否応もなく直面せざるを得ない、

つまらなさ、くだらなさ、むなしさを切り取ってみせるのが

ほんとうに上手いなーと思う。

ある職場での、ほんの数ヶ月にわたる、さざなみのような物語にこめられているのは、

働く人への共感と働かせる仕組みへの怒りだ。

息切れしてきたので、今日はこれまで。

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「Human Rights」5月号

「ジェンダーで考える教育の現在(いま)」という連載コーナーに、

「”マニュアル仕事”に息を吹き込む「教育」」と題した原稿を書いた。

書くのにとても時間がかかり、

まだまだ整理する必要を感じている。

さまざまな仕事の現場で働く10代の話や自分の経験から、

たとえばユッケの食中毒事件を引き起こした店の状況が

わりとリアルに想像できる。

少なからぬ人が指摘しているが、

肉の生食に関する問題とは別に

そこで働く人の労働環境も含めた「コスト」問題を考えなければ、

「安全」や「信頼」は得られない。

「Human Rights」

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