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2011-04

「シングルマザーズ」 二兎社

役者さんたちの熱は伝わってきたのだが・・・

シングルマザー当事者としては、

素直に笑えない、共感できない場面が少なくなかった。

とてもよく取材してつくられた舞台だというのはよくわかった。

母子家庭が置かれている社会的状況や生活実感が

ポンポンと小気味よく語られていく。

ただ説明的な台詞が続く場面では

レクチャーを受けてるような気分がした。

ほかの人は(シングルマザーではない観客)どう思ったんだろう。

夫が若い女との恋愛にのめりこんで出て行ったというシングルマザーが

追いつめられた自分と生活を自虐的に語る場面では

客席がドッと沸いていたけど、

わたしには笑えなかった。

あまりにもリアルで生々しくて。

知っている顔がいくつも浮かんで。

さらに、共感どころか大反発したのは、

吉田栄作演じるDV男を

シングルマザーたちが揃って受け入れること。

特に別れた夫のDVによる後遺症を抱えた沢口靖子演じるシングルマザーが

あろうことかほのかな恋心まで抱くとは。

その男・小田は、

逃げた妻が戻ってくるのを期待して加害者プログラムを受け、

シングルマザーたちの活動にボランティアとして加わる。

しかし前妻の再婚を知り、

やけになって事務所を訪れ、

暴れまくる。

それでも彼を許し、受け入れるシングルマザーたち。

あり得ないと、わたしは思う。

そもそもわたしたちは、

活動のなかに男性が入ることに対してはとても慎重だ。

DV被害者が少なくないのも大きな理由だし、

わたしたちの活動は

社会のなかで何かと貶められる(虐待や貧困のリスクが高いとか、

子どもがいるのに我慢もできず離婚した身勝手な女というレッテルを一方的に貼られる)

わたしたちが自分たちの力で運営することに意味があると考えるからだ。

DV加害者が自分と向き合うのは大事なことだが、

よりによってシングルマザーに甘えるなよと思う。

でも客席は、

「明るく前向きにがんばって、励まし合える仲間もいて、

おまけに恋までできて、よかったよかった」という空気だった。

なんか違うんだよなー・・・。

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「港町純情オセロ」 劇団☆新感線プロデュース

劇団☆新感線の舞台は観たことがなかった。

食わず嫌いだったかもしれない。

でも、これは面白かった!

シェイクスピアの『オセロー』を新感線風に脚色・演出したもの。

ヴェニスが関西の港町に、

軍人はヤクザに置き換えられ、

ベタベタな人間関係、ベタベタな関西弁で繰り広げられる悲喜劇。

なんといっても橋本じゅんの怪演ぶりがすごかった。

ブラジル人の父と日本人の母との間に生まれ、

生まれ故郷のブラジルをはじめ、どこに行っても蔑まれ、

己の力だけを頼りに生きてきたオセロ。

こってり作り込んだ大きな顔とずんぐりした体。

異様な風体で熱く語り、全身ではしゃぎ、嫉妬に猛り狂う。

まっすぐやけど、アホ。

アホやけど、どうしようもなく純情。

純情やけど、めっちゃうっとうしい。

傷つけられ続けてきた人の心の裏に

ぴったり貼りついて離れない「不安」を

嫉妬という感情が刺激すれば、

繊細な心はたちまちビリビリと破れ始める。

アスファルトを突き破る草のような強さをもっていたはずのオセロが、

嫉妬心を刺激されたことで自分をコントロールできなくなる。

悲劇的な結末に向かって、

笑わせながらぐいぐい引っ張っていく。

オセロを陥れるミミナシ役の田中哲司もよかったけど、

ミミナシを恋い慕うゲイのヤクザ、准がとてもよかった。

(ミミナシの裏切りを知り、告発をしてミミナシに撃たれ、死んでしまう)

大満足。

だけど、S席10,500円、A席8,500円のみの料金設定はつらい。

今回は行けなくなった人に安く譲ってもらったけど。

劇場(これも初のシアターBRAVA!)が小さいから仕方ないのか。

譲ってくれた人に感謝。

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『文蔵』(PHP文芸文庫)5月号

特集「料理を楽しむ『美味しい小説』」で、

作家の高田郁さんと拓未司さんをインタビューしました。

「おいしいものが出てきて、読んだ人が幸せになれる物語を」高田郁さん

「料理の世界にいたからこそ描けるリアリティを感じてほしい」拓未司さん

高田郁さんの『みをつくし料理帖』シリーズは5巻目にして

100万部を突破した、連作時代小説。

江戸に生きる市井の人々やその暮らしが生き生きと描かれています。

決して豊かではなく、また度々火事や天災に見舞われながら、

肩を寄せ合い、時にすれ違いながらも支え合って生きる登場人物たち。

なかでも主人公の料理人・澪と、幼なじみであり今は吉原の伝説的な花魁として生きる野江との交流は

切なくも温かく、寝る前に読むと翌朝目が腫れるのは必須です。

登場する料理の数々は、毎回高田さんご自身が試作を繰り返されるそうです。

拓未司さんの小説は、今回の仕事で初めて読みました。

『禁断のパンダ』と『蜂蜜のデザート』はミステリーですが、

料理学校を卒業後、フレンチレストランで働き、

ご友人とビストロを共同経営していたというだけあって

料理の描写がまさに絶品。

読んでいると、唾がじわーーっと・・・。

そんなお二人に、「おいしい」作品を書くにあたっての

思いや裏話を話していただきました。

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過ちは繰り返されるのか。

福島のひとたちに対する偏見、差別が広がっているとの報道。

サービスエリアで「福島の車は来るな」と罵声を浴びせられたりとか、

埼玉県の避難所で「放射能持ってくるな。福島に帰れ」と車に書かれたりとか、

ちょっと信じられないのだが、事実なのだろうか。

偏見や差別をあからさまに出すのは恥ずかしいことであり、

ろくに考えもせず、知ろうともせずに差別するのは

己の無知をさらけ出すようなものでみっともないという認識が

社会全般でかなり共有できてきた(たとえ建前であっても)・・・と思っていたが、

一皮むけばぜんぜん変わっていないということか。

もちろん、わたしのなかにも偏見やら差別やらはウヨウヨあって、

死ぬまでにどれだけそれらから自由になれるかが自分のテーマなわけだけど。

たぶん、差別は恐れや不安から生まれる。

社会から排除されるのではという恐れ。

地域や身近な人たちから仲間として認められなくなるのではという不安。

排除されない立場を守りたいがゆえに

社会に忠誠を誓い、率先してだれかを排除してみせる。

かなしい構図だ。

でもわたしのなかにも間違いなくある。

これも生物としての反応なのか(なわけないやろっ)。

森達也さんが書いていた。

「これまで僕たちはハンセン病患者に何をしてきたのか」

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思わぬ再会。

何をしてもすっきりしない気分が続いている。

元夫に「ぜっんぜん変わってへんなあ!」と呆れられたので

つらつら思い出してみると、

よく「考え過ぎやねん。もっと気楽にかまえて」と言われていたのだった。

19歳か20歳の頃、広瀬隆の「原発本」を何冊か読み、

怖くて怖くてノイローゼになりかけた。

親や友人や当時つきあっていた元夫に

「原発ってめっちゃ怖いねんで!」と説いて回ったが。

しょせん私に人を説けるほどの知識や論理があるはずもなく、

「はあ?」という反応ばかりだった。

そのうち疲れてしまい、

私は広瀬隆の本を読んだことを「封印」することにした。

そうしないと怖くて怖くて、

しかもその怖さを周りの誰とも共有できなかったから。

小さな自分の世界で気楽に生きていくためには

広瀬隆の本は封印しておいたほうが都合がよかった。

そして25年の時が過ぎ、

こんな形で広瀬隆と「再会」するとは。

はーーーーー。

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原発よりも電話代。てか。

少し前の夜。

湯船に浸かりながら物思いにふけっていると、

ピンポーンとインターフォンが鳴った。

さらにドンドンドンとドアを叩く音が。

な、なに!?

慌てて風呂場から飛び出し、

家のなかから耳をすませると、

「おーい!」という声が。

その声は、なんと元夫。

「ど、どうしたん!?」

「何かあったんか!?」

「何かって何が?」

「いや、ヘンな電話がかかってくるし、

電話はつながれへんし・・・」

「電話なんかしてへんけど・・・」

「・・・そうか、わかった。大丈夫やな」

慌ただしく言うと、

ふたたび自転車に乗って去っていった様子。

お風呂に入り直して、

こちらから電話をかけようとしたら

電話がつながらない。

電話代を払うのを忘れていた。

「あらら」と携帯から電話すると、

「何かワーワー言ってる電話が2回続けてかかってきて、

胸騒ぎがしてそっちにかけたらつながらんし、

これは何かあったんちゃうかと気になった」と言う。

「間違い電話ちゃう?

お風呂で静かに原発のこと考えててんけど。

ほんで、電話は電話代払うのを忘れてた」

と言うと、

数秒、絶句。

そして、

「ほんまに、ぜんっぜん変わってへんなあ!!」と言われる。

さらに、

「原発もええけど、電話代ぐらい払っとけよ。

何があるかわからんねんから!」と怒られる。

その後、父親から話を聞いた娘にも怒られた。

「電話代、ちゃんと払いや!」

払ったよっ。

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「はらっぱ」4月号

(社)子ども情報研究センターの機関誌「はらっぱ」

2年にわたって連載してきた「10代アルバイターの仕事のゲンバ」。

4月号から、10代という枠を取り払い、

あらゆる世代の、あらゆる仕事の現場をインタビューさせてもらうことにした。

題して「働くわたしたちの、”仕事のゲンバ”」

4月号では、保険調査士として働く50代女性が登場。

5月号は介護老人保健施設でパートの介護職として働く40代女性。

いろんな仕事の現場と働く人の思いをじっくり聴いていく。

特集は、「韓国「京畿道 児童・生徒人権条例」制定の意義と課題」。

大阪府立大学教員の萩原弘子さんが鋭い視点で解説する、

新コーナー「シネマな視点」も面白い。

今回取り上げられているのは『しあわせの雨傘』(2010年フランス)。

(「シネマな視点」は3人の書き手が毎月交代で登場)

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劇団空組第10回公演『輪廻』にぜひ。

劇団空組の舞台が面白いのは
徹底した観客目線でつくられているから。
小劇団にありがちな自己陶酔が一切なく、
笑いあり涙ありのエンターテイメントを
素直に楽しめる舞台だ。

そしてなんといっても
看板役者、主演男役の卯津羅亜希ちゃん。
とてもクールだけど、
心の奥の奥には熱いものを秘めている。
たまーーにちらっと見える熱さがたまらない。

2年と少し前に初めて観た舞台では
「少年」だった彼女が、
少しずつ変化してきた。
顔つきも体つきも、そしてたぶん内面も。

今度の舞台「輪廻」で、
彼女は役者としてのひとつのピークを迎えるような気がする。
それからどんな道を歩むのかは未知数だ。
「輪廻」をどこまで自分の納得できる舞台にできるかどうかで
これから先の道も変わっていくのかもしれない。

劇団空組も、第10回公演をもって今の形での活動は終わる。
10代でお芝居に出会い、
アルバイトをしながら自分たちの舞台をつくってきたメンバーの多くが
新たな道を歩むことになる。

今、それぞれの思いを胸に、
劇団空組は稽古に励んでいる。

重ねてきた努力(という言葉を彼女は嫌がるが)と思いが、
あるひとつの形に結実する瞬間を迎えようとしている。
そんな舞台をぜひたくさんの人に観てほしい。

あらすじ
地図からも排除された小さな国。王の一周忌を機に、もう一度昔のような
国の繁栄をと集まった人々。偉大だった王の娘イヴを中心に物語は始まる…。

5月27日(金)19:00〜
5月28日(土)14:00〜、19:00〜
5月29日(日)12:00〜、17:00〜

一心寺シアター倶楽
http://www.officeb1.net/kura/home.htm
前売り 1500円
当日精算 1800円

一心寺は天王寺動物園や公園と隣接し、新世界にもほど近いです。
面白いキャラクターもたくさん登場し、ダンスシーンもたっぷりで、
子どもからおとなまで楽しめる舞台なので、子連れでもぜひ。

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ヤスデ650匹と暮らす美術家。

『ふぇみん』3/15号で、

美術家の池内美絵さんをインタビューしました。

タイトル通り、南アフリカ原産のヤスデのほか、

ゴキブリも幼虫から育てています。

恋人がセックスの後に使ったティッシュや自分の経血を

素材に作品をつくったりと、

とても「個性的」な営み(まさに営みという感じ)をされつつ、

ご本人はまったく気負いがなく、

不思議と心地よいインタビューでした。

4/5号は、「ウィメンズネット・こうべ」代表である

正井礼子さんのインタビュー「避難所運営に女性の視点を」を掲載。(ライターは清水さつきさん)

多くの人に読んでほしい記事です。

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『Human Rights』4月号

『Human Rights』は、(社)部落解放・人権研究所の機関誌です。

「ジェンダーで考える教育の現在(いま)」というコーナーに

「パートで働く女性たちの現場で見えてきたもの」というテーマで

2回にわたって原稿を書きました。

自分自身がパートタイマーとして働きながら

感じたこと、考えたことを書いています。

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